第九回 群臣 華光を捉えんが為上奏す

 さて玉帝は昇殿しますと、大臣たちから華光が下界で太乙天尊に化けて法を説いていると聞き、華光が反乱を起こそうとしているのではと疑いました。群臣が上奏して曰く、

「今や華光は自ら天宮を逃げ出し下界に投胎して、心を入れ替えることなく、また太乙天尊に化けて法を説いております、きっと謀反を起こそうとしているに間違いありません。そこで陛下にお願い申しあげます。どうか一刻も早く天兵を下界へ下し、華光を捉えて天曹に拘束させ、下界を乱し万民を不安に陥らせることのありませぬよう」

 玉帝はこれを聞いて大変ご立腹。そこですぐに火部元帥の宋無忌を朝廷へ呼び出し、天兵三万を連れて大至急下界へ華光を捉えに向かわせました。宋無忌は玉旨を賜るとすぐに南天宝得門を出て天兵を召集し、下界へと押しかけます。ここで宋無忌はこのように考えました。

「華光の神通力は広大だ、捕らえるのは難しかろう。ここは一人の旅人に変身していこう。そして火車は風車に変え、離婁山の洞内まで手で押して行く。そうすれば奴はきっと私を見ても宋無忌だとは分かるまい。もし分からなければ、そのまま洞中に進入してから元の姿に戻り、そこで華光を捉えれば弓や矢を用意する手間も省けるというものだ。うん、良い考えだぞ」

 言い終えると早速旅商人に姿を変え、離婁山まで車を押していったのです。



 さて華光がちょうど離婁山の洞内に座っていた時のことです、突然額の天眼を見開いて、驚きながら申しますには――

「千里眼、順風耳、お前たち何か分かったか?」

 二人は答えて、

「天王に申し上げます。我ら二人には玉帝が宋無忌を使わし、兵を伴って押しかけてくるのが分かりました。今宋無忌は旅商人に化けて、火車を我々の洞内に押し入れ、洞中で捕り物をしようとしてます。天王、どうか早く計画を立てて下さい」

 華光、

「宋無忌が旅商人に化けて車をここまで推してくるなら、俺は若い女に変身し、道の途中で奴と会おう。そして奴が俺にどうかしたのかと尋ねてくるのを待ち、こう言うんだ。『私はこれから家に帰るところなのですが、ここに来て足が痛み出し、歩けないほどなのです。シクシクシク……』もしも奴が俺に火車に座らせてくれたら、俺はすぐに座っちまうんだ。どうだ良い考えだろう。これを『相手の作戦を逆手に取る』っていうんだぜ」

「良い作戦でございます、良い作戦でございます」

 言い終えるが早いか、華光は一人の婦人に姿を変え、道の中程で声を上げて泣きました。

 さて旅商人に変身した宋無忌が車を推してやってくると、若い娘に姿を変えた華光とばったり出くわしました。宋無忌がひたすら前に進むと、その娘は宋無忌の車を引き留め、涙ながらに「旅のお方お助け下さい!」と叫ぶのです。

 宋無忌、

「あなたはどこの娘さんだ、こんなところで泣いて、どうして私の車を引き留めたのだ?」

 娘、

「旅のお方、私はこの先の村の娘です。家に帰ろうと思ったのですが、足が痛み出して歩けないほどなので、ここでこうして泣いておりました。旅のお方、神仙様とお見受けいたします。どうかあなたの車に乗せて、私の家まで送って下さいませ。私の家まで着きましたら、私の両親がきちんとお礼いたしますわ」

 無忌が暗に思うに、

「こんなところに女がいるなんて、もしやコイツは華光じゃないか? もし華光なら、逆手にとって車に奴を座らせてやろう。もし奴めがこの車は火車だと分からなければ、奴が座るのを待って呪文を唱え、炎を発し、華光は焼け死ぬって寸法だ。手間も省けてコイツは良い!」

 考え終えて、早速娘に申しました。

「どうぞあなたのお家まで座っていって下さい。道を急ぎますから」

 娘、

「もし家に帰りましたら、このご恩は一生忘れませんわ」

 娘が車に上がりますと、宋無忌は即座に呪文を念じ、大火を生じさせます。華光は車の中から天眼によってこれを察し、たちまち元の姿に戻って笑いながら、

「俺は火の精だぞ、どうしててめえなんかの火に俺が焼けるかね?」

 そうして神通力を顕わし、車に座ったまま洞中に引きこもりました。慌てたのは無忌です。洞の前に駆けつけましたが、洞門はぴったり閉ざされています。無忌は大声で罵りました。華光は火車をしまい込みますと洞から出てきて無忌と戦い始めました。

 宋無忌、

「貴様が下界を騒がし、天尊に化けて法を説いたため玉帝陛下はお怒りになられて私に貴様を捕らえるよう命じられたのだぞ。なのにどうして今なお娘に化け、私の火車に座ったりするのだ? 自らお縄を受ければよいが、もし少しでも逆らう気なら、命はないぞ!」

 華光、

「天宮に背いたのは化に追いつめられたからだし、天尊に化けたのは俺の母親を捜すためだ。くそやかましい奴め、とっとと兵を帰して、天界に伝えな。『もしまだ許さねえってんなら、俺がそっちまで出向くのもやむを得ねえぞ』――とな」

「貴様は天宮に背いたのは化に追いつめられたため、天尊に化けたのは俺の母親を捜すためと言うが、ならばあの日一体誰が貴様に瓊花を奪わせ、太子を打たせたというのだ?」

「太子を殴ったからって、てめえと何の関係がある!」

 宋無忌はこれを聞いて怒り、

「私は天命を受けてここにこいつを捕らえに来たのに、こいつはまだ天に背く気か?」

 と、手にしていた槍で、華光を突き刺そうと致します。華光も槍で迎え撃ちました。宋無忌は天兵を動員して襲撃させましたが、華光はそれを見て三角金磚を取り出して打ちまくりました。天兵どもは頭を割られ脳が裂け、天曹へ逃げ帰ったのでした。華光は見事天兵どもを追い払いましたが、恐らくまた天曹は兵を送ってくるに違いないと、一日中思いめぐらすのでした。



 さて宋無忌は残りの兵を連れて天曹に帰り、玉帝に上奏いたしました。

「臣め、天兵を連れて華光を捉えに下界へ参りましたが、思いがけなく華光の奴若い女性に化け、村境の道で泣いていたので臣の車に座らせました。その後臣は華光と戦いましたが、華光は戦いだして間もなく三角金磚を取り出して投げつけ、天兵を退けたので、こうして臣ども逃げ帰って参りました次第です。

 華光はますます天宮へ反抗している上、その神通は広大です。願わくば陛下、一刻も早く決裁をなさり、後々の災いをお取り除き下さいませ」

 玉帝はこれを聞いて大変怒り、左右の群臣に尋ねました。

「今華光は天界へ背いておる。誰か朕の代わりに兵隊を率いて華光を捉える者はおらんか?」

 そこへ火部の卯日官・化が進み出で、奏して申しますには――

「臣が一人推薦いたしましょう。火部の百加聖母という者がおりますが、この者は五百羽の火鴉を有しており、もしも用いれば陣隊に突入させることが出来、誠に神通広大でございます。この者をこそ行かせるべきでしょう」

 玉帝はこの上奏に従い、すぐに百加聖母を呼び出しました。玉帝は聖母に御酒三杯、金花二本を賜り、申しました。

「卿よ、急いで兵を連れて下界へ向かってくれ」

 百加聖母は恩に謝して朝を出ると、手下に五百羽の火鴉兵を伴います。また聖母には一人の息子がおり、名を火鰕公子と申しますが、彼もまた火兵を引き連れ下界に向かいました。色とりどりの旗を閃かせ、槍と刀とを陽光に煌めかせながら、大声で張り上げること天にも届かんばかりです。こうして離婁山に押しかけ、山洞を取り囲んでしまったのでした。三軍皆々すっかり肝をつぶし、ひどく驚いて洞中の華光の元へこのことを知らせに向かいました。

 華光が洞の中に座っていると、突然小軍の者が入ってきて玉帝は宋無忌が逃げ帰ってきたために今度は百加聖母を差し向けてきたこと、その聖母が五百羽の火鴉を連れていること、下界へ押しかけてきて口々に大声で「天王は大人しく捕まれ、お縄を受けて天界に帰れ」などと叫んでいることを報告いたしました。華光はこれを聞いて大激怒、すぐに本部の馬に乗ると離婁山を飛び出しました。そこへちょうど火鰕公子と相見え、二人は互いに姓名を名乗りあってから打ち合いにかかります。火鰕公子が火鴉に合図を致しますと、空中から火鴉が飛んできて我先にと華光をついばむのです。華光は大敗して洞中に逃げ帰りました。火鰕公子が兵を収めたのはそれまでと致しましょう。

 さて華光は洞中に逃げ帰り、悶々としながらも、あの火鴉を手にいれて天兵を退けるにはどうするべきか作戦を練っておりました。半日の間思い悩みましたが、為す術もありません。しかしついにこれならば、という作戦を思いついたのです。早速火漂將を呼び出し、言い含めますには――

「俺は明日また火鰕公子と戦うぞ、奴はきっとまた火鴉を操って向かわせて来るに違いない。だから俺は分身を作ってやるんだ。そいつに戦わせて、まず火鰕公子をおびき寄せる。俺自身は空中に隠れて奴が火鴉を使うのを待ち、その時が来たら火丹を呪文を唱えて豆に変え、地面にばらまくんだ。そしたら火鴉どもは必ず我先にと豆をついばみ出す。腹一杯に喰って奴らが飛びづらくなった頃合いを見計らい、お前は一本のでっかい沙羅の木に化けろ。火鴉どもはきっととまりに来るからな。ここでお前のあのお宝・火漂粧って箱が必要だ。それを使って火鴉どもを残らず閉じこめ、俺のところまで連れてこい」

 華光の話が終わると、火漂將は作戦を受けて出ていきました。



 次の日華光は洞門を開くと、またも火鰕公子と戦いました。

 火鰕公子がちょいと刀を動かすと、あの火鴉どもは空中から飛んできて先を争うように華光をついばんできます。華光はそれを見ると自分の分身を作り出し、火鴉にその分身を追いかけさせました。華光本人は空中へ飛び上がり、呪文を唱えて火丹を取り出すとそれを地面へばらまきました。火鴉たちは豆を一目見るなり偽の華光を追いかける気も失せ、我先にと豆を食べるのでした。食べ終えてみると、目の前に一本の大木があります。火鴉どもは一斉に飛び上がり、その木の上にとまると羽を伸ばして一声鳴くのでした。今だ、とばかりに火漂將は火漂粧を取り出して蓋を開け、呪文を唱えますと、たちまち火鴉どもを一羽残らず捕らえてしまいました。そうして元の姿に戻り、華光のところに戻って火鴉を捕らえたことを一通り話しました。華光は大喜び、すぐに千里眼・順風耳に言いつけて辺り一面に網を張り巡らせ、次に火漂將に火漂粧の蓋を開けさせて網の中に火鴉を放ちました。火鴉たちは逃げようとしましたが、四方に網が張り巡らされているのでは脱出もできず、いたずらに悲しい声を上げては互いに寄り添いあって鳴くのでした。

 華光、

「お前たちが喰ったあの豆は俺の火丹だし、お前たちの止まってた木は手下の火漂將が変身したものさ。今お前たちは火漂將に捕まったわけだが、どうだ俺の手下にならねえか? もしイヤだってんなら俺はお前たちの腹の中にある火丹を燃え上がらせてお前たちを焼き殺すぜ。もし俺に従うんなら三回叩頭し、惨めったらしい声で三回鳴け」

 言い終えると、火鴉たちは声を揃えて惨めったらしい声で鳴き、各々三回叩頭いたしました。華光は大喜びで、

「お前たちが心から俺に帰順するなら、火鰕公子親子のいる陣中へ飛んで行け。そしてもし奴らを見つけたら全員で協力しあってあいつら親子をつつき殺すんだ。そうしたらお前らの功績を認め、帰ってきたらたっぷり褒賞を与えるぞ」

 火鴉たちはこの命令を受け、一斉に本陣へ飛んでいきました。

 百加聖母は火鴉たちが無事に戻ってきたのを見て、心から喜びました。火鴉たちが戻ってきたと思ったのです。しかし火鴉たちは聖母親子を一目見るなり一斉に向かってゆき、百加聖母親子はついばまれて逃げるところもなく、やむを得ず祥雲に乗って天曹へ逃げ帰ったのでした。火鴉たちの方は百加聖母たちを見事に追い返し、華光のところへ飛んで帰りました。華光は火鴉たちにたんまり褒美を与えます。

 ここにおいて火鴉五百羽を手に入れ、華光は大喜びです。そこで勝利を収めた兵には充分な報酬を与えたことは、それまでと致しましょう。



 さて、百加聖母親子は華光に火鴉を奪われ、逆に鴉たちについばまれて天曹へ逃げ帰り、華光の神通のほどを上奏いたしました。玉帝はこれを聞いて怒り狂い、群臣に対して申しますには――

「華光のろくでなしめが! このような奴が、何だってこんな神通力を持っとるんだ? そのせいで捕らることができず、下界に安息の日が来ないのだ! こうなれば朕が自ら天兵を挙げて、かならずやあのならずものをひっとらえてくれん!」

 それを聞いて群臣は上奏し、

「陛下、どうか軽はずみなことはなさいますな。この者は元々霊山寺の釈迦如来のそばにあったランプでして、久しく燃えかすを積もらせておりましたが、如来が唱えられた真言によって華光と成ったのです。華光はすなわち仏門の弟子でして、これにより神通広大なのでございます。

 もしもこの者を収めようとなさるのでしたら、世尊にお願いして下界へ赴いていただけば収めることもできましょう。やはりこの方をおいて、華光に対抗できる者はおりません」

 玉帝はこれを聞くと、すぐに金鎗太子を霊山へ向かわせ、如来に霊霄殿まで来ていただくようお願いいたしました。

 如来と対面すると、玉帝、

「朕はこの位に立って以来、三界大千を取りしきっておりました。先だって華光の奴めが朕の太子を殴り、卯日宮に逆らったうえ、下界へ逃げ出して天尊に化けて法を説いたのです。そこで朕は二度ほど兵を送ってこの厄介者を取り除こうと致しました。ですが思いがけなくもこやつの神通は広大で、火車に座って卯日宮の元帥と宋無忌を負かしました。また火鴉を手に入れて、朕の臣下の百加聖母親子を痛めつけたのです。親子は天曹に逃げ帰ってまいりました。

 このため朕はありったけの天兵を挙げて、自ら出征して奴を捕らえようと致しましたが、大臣どもが上奏していうにはあやつは世尊のお弟子だそうで。そこで、世尊にここにお越しいただきたのは他でもございません、願わくば良い手だてがございましたらそれを以て奴を捕らえ、後々しこりが生じないようにしていただきたいのです」

 如来、

「華光は確かに貧僧の弟子でございます。以前独火鬼大王を焼き殺したため貧僧が陰山に堕として罰しようとしましたが、観世音が庇うので貧僧が天眼と五通を彼に与え、馬耳山へ送って投胎させたのです。

 その後三官大帝の金槍を盗み、二匹の小妖を逃がしたため、三官大帝によって九曲珠の中に封じ込められ、魂魄は空中を漂いとどまることなくフラフラしておりました。

 それから妙楽天尊が華光の魂魄を引き取られ、華光は今度は炎玄大王のところへ投胎されて育ち、妙楽天尊に師事いたしました。また天尊の金刀を手に入れ、それを練って三角金磚を作ったのです。そして陛下の命により下界で風火二判官を収めて功をなし、陛下は彼を火部元帥に封じられたのです。

 ところが瓊花会を騒がしたため、陛下から罪を受ける身となりました。陛下が彼を咎めて卯日宮へ行かせ、華光はそこで罪に問われるのを待っておりました。ですが思いがけないことに卯日官の化は以前武を競って負けた恨みを忘れず、常に華光のことを気にかけておりました。このた華光も悩み、やむを得ず下界へ下ったのです。華光は下界へ下ってからは天界への反逆心もなくなっておりましたが、陛下が讒言を信じたため、太子に兵を集めて華光を捉えに向かわせましたね。

 華光は母親に会いに天界へ昇り、無事に会うことができたのでまた下界へ下りましたが、火炎王光仏が『陛下が再び兵を起こして華光を捕らえようとしている』と教えたため、華光は光仏に教えを乞いました。そこで火炎王光仏はこう華光に教えたのです、『投胎して生まれ変われば、この難も逃れられる』と。華光はこれを受けて貧僧が以前授けた五通と共に一つの胞胎を成して投胎いたしました。

 華光の魂が辿り着いたのがすなわち南京微州府の?源県。ここに簫という名の長者の家があり、長者は名は永富、その妻は范氏婦人ともうします。長者はもう四十歳になるのに一人も子供がいないため、范氏は子供が授かるように祈って毎晩裏庭で香を焚いておりました。ですが、その様子を吉芝陀聖母という妖怪が雲の上から見ておりました。吉芝陀聖母はヒトリガに姿を変じ、裏庭の灯りを消すと范氏を喰らい、代わりに自分が范氏に変じて簫長者を惑わしました。しばらくしてニセ范氏は懐妊しましたが二十ヶ月経っても生まれる様子はなく、人々が口々に噂する様子が華光の居る雲の上にも届いたのです。華光はまさにここに投胎しようとしてそこへ行ったのですが、まさか范氏が吉芝陀聖母だとは知らず、ただ范氏だとばかり思って腹の中へ入り、華光兄弟五人が生まれたのです。吉芝陀聖母はその後も全く心を入れ替えず、毎日簫家荘の人々を喰っておりました。

 そんなある日、龍瑞王が雲の上からこの様子を見ると、一人の僧に化けて吉芝陀聖母を連れ去ったのです。華光は母の姿が見えないのでどうしようもなくなり、やむを得ず天尊に化けて説法することで霊魂たちに母の消息を訊ねたのであり、謀反を起こそうとしたのではございません。

 陛下はご安心して枕を高くしてお休み下さい。華光は決して反逆心など持っておりません。華光は必ずや下界で陛下のために、また功を成すことでしょう」

 玉帝、

「今までにどんな功労があったというんです?」

「華光が下界へ下ってからというもの、離婁山の二鬼、火漂將、烏龍大王などの人喰い妖怪に出会いましたが、今や華光がすっかり降伏させてしまいました。これぞ功労でありましょう。どうか陛下、誰か役人を使わし、その者に玉旨を持たせて下界へ向かわせ、華光のこれまでの罪をお許しになり、彼を何か役職に封じなさいませ。そうすれば何も憂いることはございません」

 玉帝はこれを聞いて、龍顔をほころばせてのお喜び。

「如来が教えて下さらねば、朕はただ華光に反逆心があるのではと疑うばかりだったでしょう。今如来に説き明かしていただけたからには、朕はすぐにも人に玉旨を持たせ、下界へ向かわせましょう」

 そうして如来は玉帝に別れを告げ、雲に乗って西天へ帰っていきました。

 玉帝はすぐに東方木徳星君・李茂を殿中に呼びつけ、玉旨を持たせて下界へ向かわせました。群臣たちは朝を退きます。李茂は玉旨を受けて朝廷を出ると、すぐに下界へ下ったことはこれまでと致しましょう。

 さてこれからお話はどうなる事やら。それは次回のお解き明かしにて――